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1: 名無しさん 2016/06/20(月) 01:32:55.657 ID:+rO3eX5l0
警察官「・・・五回目。」

囚人「・・・」

警察官「五回目の万引きだ。」

囚人「・・・はい。」

警察官「盗んだものはぁ?、少女向け雑誌、えんぴつ、ノート、筆箱。」

囚人「・・・」

警察官「前の犯行も似たような物だったな。」

囚人「・・・娘が、いるんです。」

警察官「あぁ、知ってるよ。」

警察官「六年前に奥さまと離婚。」

警察官「当時一歳だった娘さんを引き取り、男手一つで育てる」

囚人「・・・」

警察官「正直ね、同情はしないでもないよ?でも、犯罪は犯罪だ。」

囚人「・・・はい」

警察官「罰金30万。払える?」

囚人「」フルフル

警察官「じゃあ、実刑になる」

囚人「・・・どれくらいですか」

警察官「さぁ。五回目だし、被害額も少なくはない。」

囚人「・・・何ヵ月?」

警察官「何年。だろうな」

囚人「そんな・・・!娘は、娘はどうするんです!」

警察官「そればかりはぁ。まあ、何かしら配慮はするけど、どこまでできるか・・・」

囚人「今回は、今回だけは勘弁してください!もう二度とこんな真似は!」

警察官「俺に言われても困るんよ。」

囚人「しかし、娘が、娘が!」

警察官「執行猶予はつく。それまでに優秀な弁護士でも雇うんだな。」

囚人「・・・そんな金は」

警察官「・・・じゃあ大人しく罰をうけるだけだ。」

2: 名無しさん 2016/06/20(月) 01:38:24.649 ID:+rO3eX5l0
とある研究所

ドクター「・・・というわけで」

助手「・・・」

ドクター「私は、このことに非常に興味があるのです」

助手「しかし、ドクター。検証するには人間が必要では。」

ドクター「そう、そうなんだよ助手くん。」

ドクター「そこでだ、犯罪者を使ってはどうかね?」

助手「・・・犯罪者?」

ドクター「彼らの人権はあって無いようなものだ。どう使おうと私の勝手だろう」

助手「お言葉ですが、少なくとも日本では彼らにも・・・」

ドクター「無論、本人の同意の上さ。」

助手「・・・いやしかし、法的に不可能では?囚人をモルモットとして使うなど」

ドクター「治験だよ治験。法的な問題は別の者に任せよう。」

助手「うまくいくのかなぁ」

ドクター「ふっ、きっとうまくいくさ。浦島太郎計画。」

4: 名無しさん 2016/06/20(月) 01:45:02.064 ID:+rO3eX5l0
数日後

囚人「・・・あの。貴方は」

警察官「彼が、俺が個人的に紹介したい人物だ。」

ドクター「どうも。囚人さん」

囚人「ど、どうも」

警察官「彼は、名高い研究者でね。君に協力してほしいらしい」

囚人「はぁ?」

ドクター「一ヶ月間の治験を行って頂きたい。」

囚人「よく、話が読めないのですが」

警察官「彼の一ヶ月間の治験に協力すれば、実刑は懲役一ヶ月とする」

囚人「は、はぁ!?」

警察官「それだけ重要な研究なんだ。君も、何年も刑務所には入れられたくないだろう?」

囚人「なにがどうなっているんだ?治験ってなんです?」

ドクター「一ヶ月間、用意された部屋の中で暮らせば良いのです」

囚人「へや?」

ドクター「ええ、何もない部屋ですが、食事もトイレも用意されています」

囚人「そこで、何を?」

ドクター「なにもしません。ただ居るだけでいいのです」

6: 名無しさん 2016/06/20(月) 01:47:51.730 ID:+rO3eX5l0
警察官「悪くない条件だろう?」

囚人「いや、まぁ。」

ドクター「貴方の命に関わるようなこともしません。貴方はただその部屋にいればいいのです」

囚人「・・・それをやれば・・・」

警察官「一ヶ月の拘束で外に出られる」

囚人「・・・」

ドクター「協力して頂けませんか」

囚人「・・・わかりました」

警察官「ふん」

囚人「やりましょう」

ドクター「同意していただけて光栄です」ニタニタ

8: 名無しさん 2016/06/20(月) 01:51:14.608 ID:+rO3eX5l0
二日後

囚人「じゃあ、いい子にしてるんだぞ


娘「パパ、どこにいくの?」

囚人「・・・仕事さ」

警察官「娘さんは、こちらで見ておこう。一ヶ月、責任をもって。」

囚人「よろしく頼みます」


ドクター「では、行きましょうか。」

囚人「・・・はい」

娘「ぱぱ・・・」

囚人「・・・いってきます」

娘「・・・・」

ドクター「さぁ、車に乗ってください」

囚人「はい」

バタン


ブーーーーン

13: 名無しさん 2016/06/20(月) 01:56:55.031 ID:+rO3eX5l0
研究室

助手「まさか、本当にこの条件で実験ができるとは」

ドクター「彼は今控え室にいる。部屋と料理の準備を整えろ」

助手「これから、どうするんです」

ドクター「前にも話した通り」

ドクター「私がいま一番関心があるのは、老化と時間の関係だ」

助手「・・・」

ドクター「この世にあるものは必ず朽ち果てる運命にある」

ドクター「それは時間と共に進行するものだ。」

ドクター「では、精神的な影響はどのくらいある?」

助手「・・・」

ドクター「老化は、時間と共に進行するのか。」

助手「それとも・・・」

ドクター「私はこう仮定する。」

ドクター「人の体感時間は身体の老化に比例する」

14: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:01:03.677 ID:+rO3eX5l0
囚人「この部屋に、入ればいいのか?」

ドクター「そうです、囚人さん。」

囚人「思ったより、狭いな」

ドクター「申し訳ない。」

ドクター「だが、刑務所の監獄よりは綺麗だろう。」

囚人「たしかに。壁も床も天井も真っ白だ。」

囚人(本当に、目がおかしくなるくらい真っ白な部屋だ。)

囚人(部屋にあるのは、机と、椅子と、時計。)

囚人(隅には小さなトイレが着いている)

ドクター「気に入って頂けたかな?」

囚人「一ヶ月で出られるのなら、我慢できる部屋ですね」

ドクター「ははは」ニタニタ

15: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:06:13.027 ID:+rO3eX5l0
ドクター「君からは私の声がスピーカーから聞こえるだけだが」

囚人「ええ」

ドクター「私は角にあるカメラで君を観察している」

囚人「・・・」

囚人(天井の四隅にカメラが設置されている・・・)

ドクター「まあ、リラックスして過ごしてくれたまえ」

ドクター「腹がへっただろう。食事を用意した」

ウィーーーーン

囚人「おお、机の中から料理が」

ドクター「どうぞ、召し上がれ。最初の晩餐だ。」

囚人「いただきます・・・」モグモグ

ドクター「・・・」

16: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:09:08.155 ID:+rO3eX5l0
囚人「ふぅ、なかなか美味しかった」

ドクター「それはよかった」

囚人「これで一ヶ月なら、余裕で、」

ドクター「」ニタニタ

囚人「がん、ば・・・れ・・・」クタァ


助手「眠りましたね。」

ドクター「こっからが本番だ」

助手「どうするんです?」

ドクター「十分後におこす。」

ドクター「部屋の時計は一時間進めておけ」

助手「承知しました」

17: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:11:30.464 ID:+rO3eX5l0
十分後______


ピリリリリリ

囚人「ん、ん・・・ぁ」

ドクター「目が覚めたか囚人さん」

囚人「ん、ああ、ねてたのか」

ドクター「相当お疲れかね。一時間寝たままだったぞ」

囚人「ははは、気が張ってたのかもしれませんね」チラ

囚人(もうこんな時間か)

ドクター「まあ、ゆっくりしてくれ」

20: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:16:07.584 ID:+rO3eX5l0
2時間後

ドクター「そろそろ私はおいとましよう」

囚人「え、ああ、はい」

ドクター「なにもない部屋だ。消灯したら君も寝るしかない」

囚人「・・・そのようですね」

ドクター「おやすみ、囚人さん。これからよろしく頼む」

囚人「ええ。」

カチン

シーン

囚人(本当に真っ暗だ)


プシューーーー

囚人(ん?なんの、音だ?)

囚人(なにか、吹き出るような・・・お・・・と、、が。)


助手「被験者、昏睡状態になりました」

ドクター「よろしい三十分後におこすぞ。」

ドクター「部屋の時計は8時間すすめとけ」

21: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:18:23.310 ID:E4OpgaCla
なにこれ
面白い

22: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:18:48.015 ID:+rO3eX5l0
三十分後

ピリリリリリ

カチン

囚人「・・・う、んん」

ドクター「おはよう囚人さん」

囚人「・・・おはようございます」

ドクター「始めての夜はどうだったかね。よく眠れたか」

囚人「ええ、グッスリと眠れました」


ドクター「そうか、よかった。」

ドクター「朝食を用意した。食ってくれ」

ウィーーーーン

囚人「いただきます」

23: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:21:01.267 ID:KVpxC1wQ0
いくら体感時間狂ってても腹まで空くものなのかね

24: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:22:12.295 ID:+rO3eX5l0
助手「思っていたよりも上手くいっていますね。」

助手「彼、完璧に8時間後の朝だと思いこんでいます」

ドクター「就寝というより昏睡状態だからな。」

ドクター「この部屋では外の時間に関係なく、彼の認識の時間の上で時が刻まれているんだ。」

助手「体感時間が全てということですね」

ドクター「左様。」

ドクター「それが彼の身体にどう影響するのか。」

28: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:26:35.049 ID:+rO3eX5l0
囚人(昔から枕が変わると寝られない人間だったが)

囚人(不思議とこの部屋ではグッスリと眠れた)

囚人(料理も質素ながらしっかりと栄養が取れる)

囚人(しかし不思議と腹は減らない。体を動かさないからだろうか。)

囚人(今は2日目の朝。あと30日で家に帰れる。)

29: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:29:59.241 ID:+rO3eX5l0
ドクター「囚人さん。」

囚人「はい、なんでしょうか」

ドクター「すまないが私は講義があるから、90分ほど席を外す」

囚人「はあ、大変なんですね」

ドクター「これでも一応、教授という肩書きもあるのでな」

囚人「がんばってください」

ドクター「では、失礼。」

助手「教授ってw」

ドクター「なにか?」

助手「いいえ。なんでも。」

ドクター「時計を早めろ。三十分後に戻る」

32: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:34:10.501 ID:+rO3eX5l0
かち、かち、かち


囚人(なにもやることがない)

囚人(ただ白い部屋に一人。)

囚人(考えるのは、娘のこと。別れた妻のこと、これからのこと・・・)

かち、かち、かち




囚人(きこえるのは、時計の音)

囚人(心臓の音。)

囚人(時計には秒針が付いていない。)

囚人(針が動いて、何秒たったか解らない)

33: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:36:07.128 ID:+rO3eX5l0
20分後

囚人(・・・・そろそろ、ドクターが戻ってくる時間だが)

シーーーーーン


かち、かち、かち、かち

囚人(遅いな。さすがに90分は長いぞ)

かち、かち、かち、かち

34: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:36:25.406 ID:W7+X7yO+0
面白いです

36: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:37:58.573 ID:+rO3eX5l0
三十分後

ドクター「いやぁ、すまない。講義が長引いてしまって。」

囚人「ドクターぁ!」

ドクター「なにもない部屋で退屈だったろう」

囚人「いやー、もうほんと暇でしたよ!90分が三時間くらいに感じましたw」

ドクター「ははは、大袈裟な。」ニタニタ

37: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:39:00.613 ID:iB7rQmgS0
体内時計は最大32時間まで伸びるらしいからな

39: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:40:54.960 ID:LyI5taxL0
1日を32時間って感じるのか
引きこもりだとそうなってるのかな

40: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:41:17.613 ID:+rO3eX5l0
ドクター「少し小腹が空いただろう。」

囚人「いや、あまり腹は減っていない」

ドクター「そうか?食欲がないのか?」

囚人「いや、思えば昨日からトイレにも行ってないし、なんだか消化不良だ。」

ドクター「それは困った。被験者には健康体で居てもらわなければならない」

ドクター「これを飲んでくれ整腸剤だ」

ウィーーーーン

囚人「ああ、ありがとうございます」

ゴクゴク

41: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:45:58.062 ID:+rO3eX5l0
囚人「なんか、青リンゴみたいな味ですね」

ドクター「飲みやすいだろう」

囚人「あはは・・・」

ドクター「・・・」

囚人「ち、ちょっとトイレへ行ってきます」

ドクター「どうぞ。安心して。トイレにカメラは付いていない」

囚人「あはは」

ガチャン


助手「一日のリズムを植え付けるために朝、昼、晩の食事は不可欠ですが」

ドクター「消化の方法も考えねばな。」

助手 「料理に下剤を混ぜさせますか」

ドクター「・・・・」

ドクター「容量を考えて入れるように」

助手「承知しました」

42: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:48:35.820 ID:iB7rQmgS0
精神老いる前に身体壊して死にそう

43: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:48:40.650 ID:+rO3eX5l0
囚人「ふぅ、スッキリしました」

ドクター「それはよかった」

囚人「・・・おなか空きました」

ドクター「はっはっは」

ウィーーーーン

囚人「おお、クッキーだ」

ドクター「遠慮なく食べてくれ」

囚人「いただきます」サクッ

囚人「うん、なかなかうまい」

ドクター「気に入ってくれてよかったよ」




囚人「」クタァ

44: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:50:33.811 ID:+rO3eX5l0
30分後

ドクター「おきろ、昼飯の時間だ」

囚人「う、ううう」


ドクター「また寝ていたぞ。平気か?」

囚人「すこし疲れているようです」

45: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:52:24.818 ID:+rO3eX5l0
~~~~5日後

助手「あれから、5日が経過しましたが」

ドクター「囚人にとっては25日目の朝だな」



囚人「・・・あと、6日で家に帰れるんですね」

ドクター「一ヶ月、長かったかね」

囚人「ええ、早く娘に会いたい」

49: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:56:05.704 ID:dxirPGf80
時間は髭の伸び具合でわかる

50: 名無しさん 2016/06/20(月) 02:56:50.894 ID:+rO3eX5l0
さらに1日後

~~~~~

助手「彼の体感時間はどうなっているのでしょう」

ドクター「それは彼にしかわからんだろう」

助手「今では30分を半日と言っても疑問に思っていないようですね」

ドクター「あと、25日。」

ドクター「どこまで伸ばせるだろうか・・・」



囚人「出せぇ!話が違うぞ!もうとっくに一ヶ月だ!!」

囚人「早くかえらせろ!娘にあわせろぉぉ!!」

ダンっダンっ

55: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:00:44.031 ID:+rO3eX5l0
それからドクターの声が聞こえることは無くなった。

ただ一人、白い部屋でぼーっと、秒針のない時計を眺めながら。

1日に三度の飯を食べ、
暗くなり、就寝し、
アラームが鳴り、朝が来る。

毎日が眠くて眠くて仕方ない。

もう一ヶ月。いや、2ヶ月はとっくに過ぎているはずだ。

ストレスでどうにかなってしまいそうだ。

56: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:04:27.850 ID:+rO3eX5l0
15日後

~~~~~~

囚人「・・・・」

ドクター「みろ、助手」

助手「・・・こんなことが」

ドクター「囚人の髪が真っ白だ。」

助手「・・・しかしストレスから来るものでは?」

ドクター「仮にそうだとしても、白髪になったことに変わりはない。」


助手「・・・それはそうですが。」

ドクター「彼の今の体感時間は?」

助手「およそ、35年です」

ドクター「ふふん。」

ドクター「鏡だ。彼に鏡を渡せ」

58: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:07:24.029 ID:+rO3eX5l0
ウィーーーーン

囚人「う、、あ、、?」

助手「お久しぶりです囚人さん」

囚人「だ、だれ、だ」

助手「私はドクターから研究を引き継いだ助手と言います」

助手「ドクターから伝言で、あなたに鏡を届けました」


囚人「鏡・・・?」カチャ


囚人「・・・・・」

助手「・・・・」

囚人「・・・・くっ、くふふ、くくくく」

59: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:10:42.580 ID:+rO3eX5l0
囚人「くぁははは!あはは!あはは!」

助手「・・・落ち着いてください。囚人さん。」


囚人「おじさんだぁ!おじさんが映ってるぞぁ!ははは!」


助手「囚人さん、落ち着いてください。」

囚人「落ち着けるかぁ!この!」

囚人「裏切り者がぁぁぁ!!!」

バリーーーン!


囚人「実刑一ヶ月じゃなかったのか!!?」

囚人「何年、何十年いるんだよ!俺はぁ!」

囚人「娘は!娘はどうしたぁ!!!!」

62: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:13:37.002 ID:+rO3eX5l0
助手「落ち着いてください。娘さんは無事です」


囚人「会わせろ!娘に!会わせろ!」

助手「落ち着いてください。」


『あわせろぉ!会わせろ!!!!』


ドクター「・・・一端眠らせろ。」


助手「はい。」


プシューーーー


囚人「会わせろ!あわせろぉ、あわ、せ・・・・」

バタン


助手「・・・パニック状態ですね」

ドクター「娘に、会わせようか。」

助手「はい?」

67: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:17:31.399 ID:+rO3eX5l0
ドクター「彼の体感時間で、娘が生きていたら・・・」


助手「現段階では約41歳。彼が今目覚めれば、42,3歳でしょうか」


ドクター「45歳の女性。彼の娘と特徴が似ている役者を至急用意しよう。」

助手「そんな都合のいい・・・」


ドクター「まあ、もうできているんだがな。」

助手「・・・え」

ドクター「計画の内さ。」

69: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:19:21.631 ID:W7+X7yO+0
懲役30日だっけ

71: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:21:51.384 ID:+rO3eX5l0
女性「出番でしょうか。」

ドクター「ああ、よろしく頼む」

助手「・・・ここまで想定して」

女性「それで、何をすれば?」

ドクター「これから彼と面談をしてもらう」

女性「ええ。」


ドクター「彼の娘の今までの生い立ちはこの前送ったデータの通りだ。」

ドクター「そこからの架空の39年間はこの通りにやってくれ」

女性「・・・」パラパラ

助手「・・・」

女性「承知しました。やりましょう」

73: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:24:09.361 ID:+rO3eX5l0
助手「よろこべ、囚人。娘と面会だ。」


囚人「・・・!?」

囚人「会えるのか!?」

助手「ああ。実はもう来ている。」


ウィーーーーン

囚人(壁の一部が開いた)

助手「その窓の先が面談室だ。」

助手「娘さんを通す。いいな。」


囚人「あ、ああ。」ドキドキ

74: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:27:44.412 ID:+rO3eX5l0
女性「・・・・」

囚人「・・・娘・・・なのか」


女性「・・・ぱぱ」

囚人「・・・!」

女性「・・・すごく、老けたね。」

囚人「・・・ああ。」

女性「・・・私も、おばさんになっちゃったね。」

囚人「・・・・あぁ。」

囚人「・・・・でも、変わらない」

女性「そうかな・・・・」


囚人「・・・元気に、してたか?」

女性「うん」

囚人「そうか。」

女性「警察官さんとね、暮らしてるのよ」

囚人「・・・え?」

75: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:28:10.298 ID:UvPTyEkda
実際やってみてほしい実験だな

76: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:31:25.570 ID:+rO3eX5l0
女性「ぱぱが、連れていかれたあの日から、警察官さんの家で面倒を見てもらってたの。」

囚人「・・・」

女性「今では、私の旦那さんよ」

囚人「・・・す、すごい年の差だな」

女性「そうでもないわ」

囚人「そ、そうなのか?俺と変わらないだろ。彼の年齢」

女性「医療は発達してるから。」

囚人「・・・はあ。」

女性「今の平均寿命、知ってる?」

囚人「・・・さあ。」

女性「165歳よ。」

囚人「ひゃくっ!?は!?」

84: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:36:08.177 ID:+rO3eX5l0
女性「ぱぱも、まだ100年は生きられるわよ。」

囚人「いや、そんな、もう、俺は」

囚人「俺は、お前が幸せなのを知ったから、もう。」

女性「そんなこと言わないで。」

囚人「でも。」

女性「ここから出たら、私の家に遊びにおいでよ。」

囚人「・・・でも、いつ出られるか。」

女性「大丈夫。必ず出られるわ」

囚人「何故そう言える。」

女性「ドクターが。ぱぱをここに監禁しているドクターが。」

女性「その条件として生きたまま返すことを契約しているから。」

囚人「つまり・・・」

女性「百年以内に、必ず出られるの。」

86: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:40:03.166 ID:xzSEPZxA0
この囚人にしてみれば万引きの罪で何十年も監禁されてる事になるのか

87: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:41:01.334 ID:+rO3eX5l0
囚人「百年・・・」

女性「だから、頑張ってね」

囚人「ま、待て」

女性「また来るから。」

囚人「まて、いかないでくれ!」

囚人「一緒に帰れるように説得してくれ!頼む!もう無理なんだ!限界なんだ!」

女性「大丈夫。死ぬことは絶対にないわ」

囚人「娘!それでもおまえは!俺の娘か!」

女性「もっとも私は、下らない万引き犯の娘です」スッ


囚人「・・・・あ、あ、あ」


女性「じゃあね。ぱぱ。」




懲役90年(16日)続行


おわり。

100: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:56:30.914 ID:+rO3eX5l0
懲役一ヶ月後

ドクター「やあやあ、お疲れお疲れ」

囚人「ぐ。あ、、あ」

ドクター「一ヶ月の実刑、お疲れ様。」


囚人「・・・ふざけるな」


ドクター「ふざける?なにが。」

囚人「っ!」

囚人「何十年拘束した!俺を!!」

囚人「犯罪だ!監禁だ!!俺の人生を返せ!」ダンダンダン


ドクター「まあまあ、落ち着きたまえよ。」

103: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:59:58.496 ID:+rO3eX5l0
囚人「落ち着いていられるか!百年間の拷問を受けてたんだぞ!」


ドクター「百年、ねぇ。」

囚人「はぁ、はぁ、はあ」

ドクター「なにも疑問に思わんのか?」

囚人「なにが!」


ドクター「貴方はよぼよぼのおじさん。私はあのときのままの元気な中年男性だ。」

囚人「・・・・」

ドクター「実刑、一ヶ月。約束は守っている」

105: 名無しさん 2016/06/20(月) 04:03:28.360 ID:+rO3eX5l0
囚人「・・・・まて、なにが言いたい」

ドクター「君は一ヶ月間この部屋にいた。それだけだ。」

囚人「そんなデタラメをよくも!」

ドクター「ほら、来ましたよ。」

囚人「!?」


ブロロロロ

ぶーん、、

バタンっ

囚人「け、警察官・・・」

警察官「ドクターさん、お待たせしました。囚人の出向かいに参りました。」

ドクター「ええ、お待ちしておりました」

警察官「それでぇ、囚人はどこに?」

囚人「・・・・」

ドクター「そこのが、囚人だ。」

107: 名無しさん 2016/06/20(月) 04:05:55.772 ID:+rO3eX5l0
囚人「警察官、おまえも変わらないな。」

警察官「あなたは変わりすぎです。」

囚人「娘とは、真剣なのか?」


警察官「・・・はい?」

囚人「とぼけるな!俺の娘を渡してやったんだ!責任持った行動をしているだろうな!?あ!?」

警察官「落ち着いてください。」

警察官「ほら、娘ちゃん。ぱぱだよ」


パタン

囚人「・・・・・!?」

109: 名無しさん 2016/06/20(月) 04:08:40.777 ID:+rO3eX5l0
娘「・・・パパ、どこ?」


囚人「む、娘・・・・?」

娘「んー?」キョロキョロ


囚人「意味が、解らない・・・どうなってる?は?え?は??」

ドクター「・・・・プッ」

助手「ドクター?」


ドクター「ぶぅわあははははは!!」

囚人「!?」
警察官「!?」
助手「!?」

ドクター「素晴らしい、素晴らしいよ!」パチパチ

112: 名無しさん 2016/06/20(月) 04:13:52.652 ID:+rO3eX5l0
ドクター「この一ヶ月間、この代わり映えのない世界に、あの部屋が存在したぁ!」

ドクター「あの部屋は世界に関係なく、加速し続けたんだ!」

ドクター「見ろ!彼こそがその結果だ!時空という共通の概念からこぼれ落ちた屑だ!!」

囚人「・・・」


ドクター「素晴らしい!芸術だ!哲学だ!あはははは!」ポロポロ


囚人「一ヶ月・・・ほんとうに」

娘「ぱぱーどこー?」

囚人「ほんとうに、一ヶ月だったのか?」


娘「ぱぱー!ぱぱー!」キョロキョロ

115: 名無しさん 2016/06/20(月) 04:18:57.064 ID:+rO3eX5l0
囚人「・・・・娘、俺だよ!パパだよ!」

娘「?パパ・・・?」


囚人「そうだよ・・・ほらおいで」

娘「ちがう。パパじゃない!」

囚人「・・・」


警察官「・・・」

ドクター「あー、癖になりますねぇ。この実験」

囚人「・・・」

ドクター「今度は、教育と退化で実験しましょうか」


ドクター「ねぇ?」

囚人「もう、どうにでもなれ」


おわり

116: 名無しさん 2016/06/20(月) 04:20:38.731 ID:+rO3eX5l0
読んでくれて有難うございます。
もう限界です
許してください
さっきまで夜だったのに気がついたら朝でした

最後までありがとう。

118: 名無しさん 2016/06/20(月) 04:21:12.004 ID:qvIOVCmdM
面白かった!乙

119: 名無しさん 2016/06/20(月) 04:21:19.901 ID:vME6Fu9Y0
おつおつ
やっぱこの手のは落とし所難しいな

120: 名無しさん 2016/06/20(月) 04:21:33.677 ID:xzSEPZxA0

面白かったよ
おやすみ

122: 名無しさん 2016/06/20(月) 04:22:29.164 ID:KHRk9FjQ0
おつかれ!
俺はいいと思うよ

127: 名無しさん 2016/06/20(月) 04:29:57.470 ID:gT3ZyI870
2倍速くらいはいけるんだろうな
もうどっかで実験してたりして

91: 名無しさん 2016/06/20(月) 03:42:12.852 ID:wbnmIpM80
おかげで時間を疑うことを覚えたよ

引用元: ・囚人「懲役一ヶ月の刑?」ドクター「はい。」